まさみち、何でだ


呪術高専東京校学長、夜蛾正道を “まさみち” と呼んでいる。まさみちはコワモテだ。格闘技には全く興味がないが、その顔には見覚えがあった。年末に月亭方正を引っ叩く人。何で高専の先生なのかはわからないけど、コワモテがぬいぐるみをチクチク縫っているのが愛らしくて大好きだった。

顔に似合わず優しい。生徒や仲間のことを陰からそっと助けてくれる頼れる学長だ。その彼が突然命を絶たれた。あまりにも予想外で、あまりにもあっけなく。彼はなぜあんな所であんな風に消されなければならなかったのだろう。

私の悲しみに追い打ちをかけたのは、まわりの反応の薄さだ。パンダが涙を流したこと以外、彼の死を悼む声は聞こえてこなかった。仕方ない。あの五条悟の時でさえそうだったのだから。唯一の救いは、ななみんが悠仁の心にずっと住み続けていたことだけだ。

現実的には、まさみちの役目はもうおしまいってことなんだろう。それでも許せないのは、この期に及んで楽厳寺を上層部の考えに同調させてしまったことだ。この時点で私の爺さんへの期待は一切なくなった。結局まさみちを手にかけたのは、他でもないその爺さんなのだから。

箱から出た五条が後を託した形になったのも、まさみちが黙って死を受け入れたのも、アンタに呪いをかけたからなんだよ、ジジイ。ついたての向こうの奴らを手にかけた五条の意思を、アンタはちゃんと引き継げるのかい?

齢76歳のあの爺さんに、新しい呪術界を先導していくことは期待しない。そもそも作者自身の思惑がそこにはなかったのかも知れないし。それでも、私はまさみちに生きていて欲しかった。生き延びて後に続く若い術師たちを育て、守ってやって欲しかった。だから私はその希望を篤也に託したのだ。どうか遠くから力を貸してやって欲しい。